ナムジュン・パイクの展覧会『2020年 笑っているのは誰?+?=??』
ワタリウム美術館
ワタリウム美術館は外苑前から10分程度のところにある施設美術館。三角形で細長い建物で、ぱっと見美術館が入っていると認識できないほどです。館内の2階から4階までが展示室となっていてフロア面積は、それほど大きくないのですが、特徴的な展覧会を企画している面白い美術館です。
ナムジュン・パイク
そんなワタリウム美術館で現在開催されている展覧会が、ナムジュン・パイクの没後10年を記念した回顧展です。7月から前期、後期に分かれて開催されていますが、今は後期の展開中です。もう、10年も経つんですね。
「ビデオアートの父」と呼ばれているナムジュン・パイク。特に、ブラウン管のテレビモニターを使った作品で知られています。
『2020年 笑っているのは誰?+?=??』
「ビデオアート」というと、発表当時は、恐らく最先端のテクノロジーを用いたアートだったのだとおもいますが、ブラウン管テレビが一般家庭からなくなってしまった今観ると、いい意味でノスタルジーを感じます。
中でも気に入ったのは、上の写真の「ケージの森/森の啓示」という作品。木々にテレビモニターが木の実のようになっているインスタレーションですが、これが神秘的で、ずっと見てられた。
あと、パイクというと「ビデオアート」というイメージが強かったのすが、イラストが以外とかわいくてよかったです。
後期は、ヨーゼフ・ボイスとの関係が重視された構成になっていました。特に、ボイスの死後、彼を偲ぶように、トレードマークだった帽子をテーマにした作品を多く残しています。それらの作品がとても愛嬌があって、パイクのボイスに対しての思いに溢れているなとかんじました。
最後に前期の導入部分で、パイクの生い立ちが紹介されていた中で一番印象に残ったエピソードを紹介します。
朝鮮戦争の戦火から逃れるために家をでる準備をしていたパイクに対して、母は選別の言葉として「お金は湯水のように使いなさい」と言ったいうのが、とてもいいなと思いました。
相当のお金持ちにしか言えない言葉ですが、何か人生の教訓が含まれているような気がしました。
ナムジュン・パイク 2020年 笑っているのは誰 ?+?=??
- 作者: ワタリウム美術館,渡辺真也(解説)
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2016/10/27
- メディア: 大型本
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