レオナール・フジタとモデルたち(DIC川村美術館)
DIC川村記念美術館。千葉県の佐倉市、千葉の中心地からちょっと離れたところにある美術館で、大きな庭園も併設されている自然豊かな環境にあります。
コレクションも、レンブランドを始め、モネ、ルノワール、ピカソから、尾形光琳、長谷川等伯などそうそうたる作品を所蔵しており、マーク・ロスコの作品のみが展示されたロスコ・ルームは特に有名です。
さて、今回はレオナール・フジタ(藤田嗣治)の展覧会。今年は生誕130年ということもあり、いくつかの展覧会が開催されています。藤田嗣治が好きな私にとってはうれしい限り。当然、府中美術館に続いて訪問してきました。
府中美術館の藤田嗣治展が、彼の人生を作品を通して振り返っていく構成でしたが、今回の展覧会は彼の絵の「モデル」にスポットをあてています。
エコール・ド・パリ時代に『乳白色の肌』という代名詞があったように、人物画は藤田嗣治にとって重要な部分ですので面白いテーマだと思います。また、彼はその時代のパートナーをモデルとして描いていることもあるので、「モデル」にスポットをあてる=彼の人生を振り返ることにもなるのですが。
初期の作品からその時々のエピソードと一緒に絵を振り返って行きます。
初期の絵は、いわゆる『乳白色の肌』として有名になった画風との大きな違いが興味深いです。
エピソードとしては個人的は、まだ貧乏だった時代のキキとのエピソードが好きでした。あと、パンフレットのイメージにも使われている絵のエピソードもあります。このモデルは貴族の血をひく小説家の女性なのですが、絵を書いている途中で、「私はもっと目が大きくて美人だ」とクレームをつけられて未完に終わったそうです。
そう聞くとなんとなく、藤田が気分のってないのかなと感じたりしました。
4つの大きな壁画「ライオンのいる構図」「犬のいる構図」「争闘 I」「争闘 II」もフランスから渡ってきて展示されています。多くの人物、動などが描かれた群像図なのですが、どれも初めて見た作品で、ソフォに座ってゆっくり観賞をすることができました。
ただ、藤田嗣治の作品が人物を描くときに、次第に筋肉が強調されるようになるのですが、個人的にはそれ以前にほうが好みだと再確認しました。
本展には、絵以外にも、渡仏したあと、日本に残った最初の奥さんに送っていた手紙、写真、雑誌なども展示されていて、彼の人となりも伺うことができます。特に、手紙には、小さい字でびっしり書かれていて、「やっぱり几帳面なんだ」と、勝手ながら納得させていただきました。
あと、彼の絵が焼き付けられた陶器も展示されていたのですが、これがおしゃれだった。ほしいなと思って、もしかしたらと、観覧後ミュージアムショップに行ったところ、陶器は売っていたんですが、自分がほしいとおもったデザインのものではなかった・・・。非常に残念でした。