畠山直哉 写真展 まっぷたつの風景(せんだいメディアテーク)
まずは、せんだいメディアテークに念願の初訪問。伊東豊雄さんが設計した建物で、柱の代わりに設置されているチューブが印象的。
ちなみに、照明がつくと近未来的な雰囲気が増します。
さて、肝心の展覧会です。タイトルは「まっぷたつの風景」。
陸前高田市出身の写真家・畠山直哉が取り組む「風景」に着目した展覧会。初期から現在までの作品群と対話の場を通じて、「風景」が持つ二面性や両義性、畠山の表現と現在の私たちの社会との関係性を探ります。
前半は、これまでの作品の代表的作品が並びます。石灰石鉱山や工場や地下の空間など、特に印象に残ったのは、取り壊される前に住宅展示場として使われた大阪球場のもの。球場のグラウンド内に家が並ぶ風景に、まさしく二面性を感じました。
そして、本展の見所は後半。東日本大震災の被害を受けた故郷・陸前高田の風景を撮り続けたもの。
中央のテービルには、数百枚という膨大なコンタクトシートが時系列で並べられています。震災発生直後から、毎週のように撮られていて、5年たった今でも毎月のように訪問しているようで、そこには、畠山さんの執念みたいなものを感じました。
1年目は、本当に色がない。風景はみんな茶色。改めて、すべてが無くなってしまい、色彩さえも失ってしまったんだと改めて実感しました。
それが翌年から、新緑や花などの色が少しずつ出てきて、その後に復興にともなう重機や資材などの色がようやく現れてきた。
しかし、最初の3年は、目に見える「復興」が中々進んでいないことが手に取るように見える。ものすごくじれったくなるぐらい。
ここ2年で、ようやく目に見える変化がでてきたというところでしょうか。まだまだ、復興途上なんだってことを改めて認識した次第でした。
これからも継続して、伝えていかなければいけないことがここにはありました。