奈良美智 for better or worse(豊田市美術館)
夏休みを利用して愛知県の「豊田市美術館」で開催されている奈良美智の展覧会に行ってきました。初期から直近の2017年の作品まで、代表作品100点が揃うという回顧展。ご本人がtwitterなどで、これだけの作品が一堂に会するのは二度と無いかもしれないというようなことを言及されてたりするので、見逃せない展覧会なのです。
まずは、タイトル「for better or worse」の意味から
「for better or worse」、すなわち「どのような運命になろうとも」、奈良がこれまで描いてきた、そしてこれから描いていくすべての作品へむけた誓いの展覧会です。
結婚式の誓いの言葉で使われる言葉らしいです。ここにも回顧的な意味合いが込められているのかもしれません。
本展は、展示室ごとに別々のテーマ、見せ方で趣向を凝らされています。
最初の展示室では、奈良さんの私物が展示されています。入って左側の棚には、彼が影響を受けた書籍や、人形から、なぜか、こけしまで。そして、右側には、学生時代に集めたレコードが飾られています。奈良さんといえば、パンクロックというイメージでしたが、フォークやロックのものが多く飾られており、「奈良さんもこれ聞いていたんふだ!」という親近感に浸るひとときを過ごしました。
そして、次の室は、初期の作品の数々。今とは違う画風の作品から、画風は現在に通じる作品になるまでを一連で見られます。改めて、時系列に見てみると、初期のトンガリ具合を再確認できました。
そして、ドローイングを集まれた室。それこそ、段ボールの裏などに走り書きのように書かれたようなものもあるのですが、ひとつひとつのテーマにグッとくる作品も多数ありました。
そして、2Fに上がると、光を閉ざした夜のスペースの中に、小屋などのインスタレーションが展示されています。闇夜に浮かぶ唯一の明かりのような存在でした。
そして、3Fは、比較的最近の作品が、1点づつスペースをとって展示されています。
回顧展ということで、いろんな作品が見られるのだろうなと想像はしていたのですが、
これほどひとつひとつの眼差しと対峙することになるとは思いませんでした。
一通り、観賞するとかなり、消耗をした感じになりました。もちろん良い意味で。
時間が許すなら、ずっと浸っていたいという感じの展示会でした。